点検は
いつがベストか?
特に変化に気づかなくても、知らない間にトラブルが進行している場合もあります。
定められた定期点検が理想ですが、経費がかさみ売電効果が下がります。
少ない点検で大きな損失を防止するには一体いつがベストなのか考察します。
東海3県の月別日照時間の過去30年の平均値と発電能力経年低下率、気温上昇による能力低下を反映して1ヶ月間の発電量をシュミレートしました。
定格発電量1kWあたりを単結晶タイプと多結晶タイプで作成しています。計算元のデータは「太陽光発電電力低下」のページに掲載しています。
日照時間に加え、気温の変化で発電量が左右されるため、東海三県での差が大きい月がありますが、全体的な月度の発電量の増減はほぼ同じ比率で推移しています。
夏場の方が発電量が多いと思われがちですが、実際は気温の低い1月〜5月が安定的に発電量が高い季節になります。日照時間に加え気温が低く、発電能力が出やすい25℃を超えない日が多いことが要因です。
逆に夏場は気温の上昇が激しく、パネルの発電能力を低下させてしまい日照時間が長い割に発電の効率が悪く、発電量は伸びません。
また、単結晶と多結晶のタイプ別での年間発電量の設置後の変化をシュミレートしました。
発電効率は単結晶のほうが高いため、年間の発電量は同じ定格1kWで比較すると設置時は100kWh以上の発電量の差が出ています。
しかし、単結晶は経年での低下率が高く、10年経過時点で年間の発電量は7.8%低下しています。一方多結晶は10年経過時点で発電量の減少率は5.6%にとどまっており、年度を追うごとに単結晶と多結晶の発電量の差は縮まってます。
初期投資はパネルの単価が多結晶のタイプの方が安価のモデルも多く、設置コスト回収期間を考慮するのには低下率も反映が必要です。
実際に各家庭の消費状態は使う電気機器の容量や、在宅の時間帯や人数によって大きく変わりますが、過去の平均的な事例をもとに、3つのパターンでシュミレーションをしてみました。
世帯構成 | 1日合計使用電力量(kWh) |
2人世帯 昼間在宅 | 10.5 |
4人世帯 昼間在宅 | 13.1 |
4人世帯 昼間不在 | 10.2 |
グラフの1日のトータル使用量を比較すると、昼間不在の4人世帯の電力使用量は昼間在宅と比べると少なくなっています。あくまでも平均値なので、全てがのご家庭が該当するわけではありませんが、8時〜17時の使用量を抑えて計算されています。
一般的な4人家族で昼間不在のケースが全体的には多いと思われますが、電気料金的にも契約により大きく変わりますが、昼間の電気料金が高いプランが多いため、夜間に集中する使用はお得とも言えます。
8時〜17時の電力使用量は以下のようになっています。
2人世帯 昼間在宅 4.7kWh
4人世帯 昼間在宅 5.8kWh
4人世帯 昼間不在 2.9kWh
注目すべきは4人世帯で昼間不在のケースの不在時の消費電力量です。8時〜17時の間のトータル消費電力はおよそ3kWhになります。
在宅世帯はその日の状況により、使用量の増減があり結果として平均値になりますが、ふざいのばあいはほぼ待機電力での消費になるため、日々での大きな差は発生しないと考えられます。このことが次の売電価格と収益に関係してきます。
さてそれでは一番気になる売電価格の推移を、「太陽光発電電力低下」のページのデータを基にシュミレーションしてみました。
設備の設定条件は以下の通りです。
自家消費は使わず、売電のみの設定での計算です。設置費用や、設置年数、設置場所の状況によって変化しますが、厳しめに計算しておよそ9年で設置の費用は回収されます。10年目以降が設置のコストは回収され、収支としてプラスに転じます。
FIT法の対象年数が終了すると、単価の補助額がなくなりますが年間で5万円弱の売電は維持できています。
では、売電のみの場合と、売電と昼間の家庭内での消費分を発電量でまかなう自家消費を併用した場合と比較してみました。
条件設定は 4人家族、昼間不在のケースで算出しています。この場合に昼間に消費できる電力量がおよそ3kwhのため、8枚パネルの設定では1日の発電量から15%程度までしか自家消費には回せません。
先ほどの条件に、発電量の15%を昼間の自家消費に充てるプランで作成しました。4人家族 昼間不在の場合は昼間の使用量が安定していることから、シュミレーションケースに選択しております。15%消費で3kWh前後なので、昼間不在の家庭の昼間消費電力とほぼ同じになります。
自家消費を絡めた場合は、設備の回収がおよそ1年後ろ倒しになり、ほぼ10年で改修になりますが、FIT終了後の単価に対して、昼間の高い電気料金時間帯を自家消費で賄うことでコストメリットが大きく変わり、20年後の収支総額で比較すると20万円以上の差が出る計算になります。昼間の電気代を高く設定する契約プランでない場合はコストメリットも下がりますが、それでも売電のみに比べると大きな差が出ます。
これは、昼間の電気代単価と売電単価の差があることからこのような状況が発生し、差が小さいFIT法対象時期は効果が少なく、差が大きいFIT法対象終了後の11年目以降に大きな効果が出てきます。自家消費の比率を上げればその分効果は大きくなりますが、蓄電できない場合は消費しきれずに期待した効果がえられません。
なので、最もメリットのある売電の仕方は、10年目までは自家消費なし、11年目からは自家消費あり、に設定するのが電気料金との差額を考慮したプランになります。ただし、今回は2015年の設置で計算していますので、設置年度でFIT単価が違いますので、各年度の売電単価と昼間の電気料金単価と比較しながらベストなプランを組む必要があります。
近年は自家消費比率を上げるために昼間の蓄電設備の設置ケースが増えていますが、夜間の電気料金は昼間より低い契約が多く、期待するほどの効果を得られない場合が多くあり、しっかり計算しないと高額な蓄電池の設置金額が回収できない場合もあります。
理想的な形の10年間は自家消費なし、11年目から自家消費ありのケースで、7年目にパネル1枚が損傷し発電量が下がったと仮定しましょう。
あくまでもシュミレーションのため、故障パネルを放置しても発電量の低下のみが影響するとの仮定で計算されており、実際には高熱を発して火災に至るリスクも高まり、1枚のパネルの損傷が他のパネルの発電に影響を及ぼす場合もあり、年数を重ねるたびにデメリットが大きくなります。
パネルが損傷して収支に影響を与えるのは、自家消費を考えるべき10年目以降の影響が大きいため、赤外線カメラを用いたパネルの点検を10年目までに、特に8年目に実施するのがおすすめです。
太陽光発電設備は8年目の点検実施がベストなタイミング
既に10年経過間近、経過済みの設備は、実施を強くお勧めいたします!
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